毎月定例で最新のインターネットの醍醐味をお伝えするプレゼンテーション「KNN Night」。話題になる前のインターネットメディアを、少しだけ未来の視点で、マーケティング的要素と、ユーザーサイドの心理的影響と、海外動向をあわせもってレクチャーする会合となります。 |
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神田敏晶氏
ビデオジャーナリスト。神戸市生まれ。 ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の企画編集とDTPに携わる。その後、CD-ROMの制作・販売などを経て、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。 現在、impress.TVキャスター、早稲田大学非常勤講師、デジタルハリウッド特別講師。宣伝会議講師なども行う。2002年4月1日より日本で法人化。世界で初めての”SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)”をテーマにしたIT-BARを渋谷で展開。KandaNewsNetwork,Inc. 代表取締役。 |
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■KNNエンパワーメントコラム "CGM"の時代がやってきた!AIDMA編 神田敏晶 ─────────────────────────────────── KNN神田です。 インターネットがなかった時の事を、よーく思い出してみてほしい。 商品を購入するまでのプロセスを…。 TVを見ていると、マーシャルをやっていた。 どうやら、新製品のクルマが発売されたらしい(注意) すごく興味がわいてきたので(興味・関心) 販売店にいってみて、実際に触ってみた(欲求) そして、販売価格とカタログをもらって帰る(記憶) 価格も安く、近くでサポートもあるので、いつものカーディーラーで購入した (行動) かつて「AIDMA」と呼ばれた法則の消費行動パターンだ。 A: Attention(注意) I: Interest(興味・関心) D: Desire(欲求) M: Memory(記憶) A:Action(行動) これが、インターネットが存在したことにより、(検索・比較)が用意になり、 情報を共有しはじめるようになった。 興味を持ってからは、販売店ではなく、メーカーの新製品サイト。 メディアのレビュー、そしてkakaku.comや2ちゃんねるでの評判や購入者のコ メントを参照するようになる。 販売店で検討するよりも、さらに深い情報が読み取れるようになった。 それが、 A: Attention (注意) I: Interest (興味・関心) S: Search (検索) C: Comparison (比較) E: Examination: (検討) A: Action (購買) S: Share (情報共有) そして、それがさらに、CGM時代となると、オークションで販売した時に、 いくらで売れるのかの「残存価格」を調べたり、自分が気にいった場合には、 アフリエイトとして、エバンジェリストになることもできる。 もしかすると、同好の仲間を集めて、共同購入のようなこともできるようにな るだろう。 A: Attention (注意) I: Interest (興味・関心) S: Search (検索) C: Comparison (比較) E: Examination: (検討) T: Trial (トライアル・試行・試用) A: Action (購買) S: Satisfaction(満足) S: Share (エバンジェリスト化) R: Repeat (再購入) R: Relationship (ロイヤル化・関係化) XS/US: Cross Sell/Up Sell (拡大購買) 今まで、単なる消費者だった人たちが、CGM(消費者作成メディア)を持つこ とによってメディアと同等、もしくはそれ以上に「ある特定の人」にとって は、メディア以上の信頼性を持った情報を提供できるようなメディアになりつ つある。 日産のティーダ公式ブログ http://blog.nissan.co.jp/TIIDA/ を見てほしい。 日産自動車のマーケット本部の山本さんが、オーナーやティーダに興味のある 人向けにメッセージを投げたり、コメントを残している。 CGMではないが、企業と消費者のコミュニティとなっている。 企業が、コマーシャルや複雑な流通経路を経てから、消費者とつながっている のではなく、ダイレクトにつながった製品コミュニティともいえるだろう。 http://blog.nissan.co.jp/TIIDA/2005/09/owner.html では、オーナーが自慢の「ティーダ」を撮影して、TrackBackを残している。 実際にクルマのオーナーでTrackBackを残せる人は、ほんの数%であるが、近 い将来、たくさんの人がこのように同じ「製品」を購入した人たちが、つなが りだしたりすることも十分に可能になることだろう。 たとえば、ティーダを持っている人が1万人いて、月に一度はドライブに行き、 3万円くらいお金を使っているとしたら、それだけで3億円マーケットが存在す ることになる。 今まで、そのマーケットに対しては、TV-CMではまったく無関係なところから メッセージを配っていた。 しかし、「ティーダ」ユーザーの志向にあわせたメディアがWEB上にあれば、 自動車保険から、ドライブマップ、レストランやレジャーランドのクーポンな ど、さまざまな展開ができるはずだ。今まで、それらのアプローチを企業がし たくてもできなかったマーケティングのプロモーションである。 トヨタのプリウスを購入する人で、環境問題の意識の低い人はいないはずだ。 ハリウッドスターがプリウスをこぞって購入していることもさらに話題となっ ている。 企業は、プリウスのユーザーをリストで抱えるのではなく、ユーザーの属性や 嗜好にあった便利なサイトを連携していくことにより、さらなる顧客とのコミ ュニケーションが可能となるはずだ。 たとえば、プリウスのユーザーには「ソトコト」を一年間、無料購読ができる キャンペーンがあると双方の企業にも顧客にとってメリットがあるだろう。 さらに、プリウスユーザーなら、農家の土地オーナーから有機野菜の直販があ ったり、オーロラ観測の特別割引などがあるという展開も可能だろう。 もしも、あなたが犬を飼っていたら、犬と暮らせる賃貸マンションだけの不動 産情報誌が欲しいだろうし、評判のいい獣医が見つかるサイトと犬と一緒に食 事のできるカフェの開店情報も欲しいはずだ。 今までのメディアがサポートできなかったメディアがCGMが作りつつあり、そ れらのCGMがまとまることによって、特定の人にだけ、反応させることができ る特別な「メディア」がウェブには登場するような時代となりつつあるだろう。 |
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※2005年11月14日時点での情報です。詳細については変更される場合があります。 |