デビューが決まった時に一番うれしかったのは
プロの人と一緒に仕事ができることだった
−3月22日に3rdアルバム『LIFE e.p.』がリリースされますが、前作2ndアルバム『こころとココロ』が発表されたのが昨年の11月。2004年11月に発表されたデビューマキシシングル「空色のフィナーレ/花を買う」から3カ月に1枚ぐらいのペースで音源を出し続けていますよね。
谷口佳史(以下、谷口):リリース計画に合わせて曲を作ったり、前からあった曲を出したりしながら、2ndアルバムでストックを出し切って、ひと区切りついた感じですね。だから、大人の事情もあるんですけど、そこは前向きに捉えてます(笑)。
川西卓也(以下、川西):苦しいことは苦しいんですけどね(笑)。でも、流れ的にライブが続いていたりすると、そのままのテンションでレコーディングができるという特権みたいなものもあるんですよ。
−とはいえ、そんなペースの中で曲を作るのは結構キツいのでは?
谷口:“リリースラッシュ”って言うと悪い印象があるかもしれないんですけど、曲をいっぱい作っているのに音源が出せないでいる友達のバンドとかいたりするから、音源が出せるというのは幸せなことだと思いますね。締め切りがある中でクオリティーを求められるプレッシャーもあるんですけど、そこにすごくやり甲斐を感じるし、与えられた状況での楽しみ方は分かってきている感じはあります。逆に1年ぐらい開くと不安になるかもしれない(笑)。
−その過程の中で作る曲というのも変りました? インディーズの頃のように路上で演奏するための曲ではなく、音源のために曲を作るようになったわけですよね。
谷口:1stアルバムと2ndアルバムに関しては、ポップスというものに向かおうと思ってて、3人だけじゃない楽器の音…キーボードの音とかを積極的に入れたりしてたんですね。でも、CDを出した後に何回かツアーをしたんですけど、その時に3人だけでは演奏ができないからって3人でのアレンジでライブをやったというギャップが、今回の『LIFE
e.p.』だったり、今作っている次の音源に反映されている感じはありますね。
−そういう変化の部分で影響が大きいのが、1stアルバム『君とボクと空と』でのレコーディングでプロデューサーが立ったことだと思うのですが。
谷口:それはすごく大きかったです。自分達だけでやってた時のOKというのは自分の判断なわけじゃないですか。プロデューサーの弥生(淳二)さんは、たとえちょっとズレていても1曲を通してのグルーブが一番いいものピックアップするんですよ。弥生さんとは1stアルバムと2ndアルバムを一緒にやったんで、今回の『LIFE
e.p.』でもそれが自分の中に基準になりましたね。
川西:僕も弥生さんの存在は大きかったですね。グルーブって目に見えないものじゃないですか。1stアルバムのレコーディングの時も「グルーブって何やろ?」と思ってて、分かるようで分からなかったんですよ。それがレコーディングの中でだんだんと分かっていきましたからね。
河合和正(以下、河合):個人のプレイ的なことになるんですけど、自分ができるだろうと思っていたことが、いざレコーディングになった時に全然ダメだった時があったんですよ。自分はできているつもりだったのにできてなかったりして、「なんでできへんのやろ」って。そこですごく悔しい思いをしたことが、2ndアルバム『こころとココロ』につながっていったと思いますね。弥生さんは「今のは乗れないよ、河合くん」と軽く言うんですけど…
−グサッと?(笑)
河合:もうズシ〜ンって(笑)。でも、そこが2ndアルバムのレコーディングの時に良くなってると言われて、単純にうれしかったですね。だから、自分ができていなかった部分と、「ここを伸ばしていけばいいんや」という部分が明確になりました。
谷口:1stアルバムを録ってる時は初めてのことばっかりやったから、驚きと喜びと難しさの連続でした。レコーディングがプロとしての初めての仕事やったんですけど、僕はデビューが決まった時に一番うれしかったのが、プロの人と一緒に仕事ができることだったんですよ。だから、レコーディングとかがすごく楽しみだったんです。そこでプロというものを生で体験できたし、何も言わないんですけどスタッフの人達も「これがプロのミュージシャンなんやで」みたいなところを僕らに見せてくれていたとも思うし、そこでプロのレベルを知った…「あっ、こんなもんでいいんや」というところと「うわっ、こんなにやらなあかんのか」という抜きどころと入れどころを知りましたね。締めるところを締めておけば後は何もしなくてもいいみたいなことを教わりました。
スタッフの手のひらの上で
転がされていたのかな(笑)
−2ndアルバムで曲のストックを出し切ったということでしたが、ということは今回の『LIFE
e.p.』の曲は2ndアルバムのレコーディングが終わった後の2カ月ぐらいの間に作ったということですか。
谷口:そうやったけ?
川西:そうそう。
谷口:そうです(笑)。でも、曲を作るのにそんなに時間は掛からないんですよ。
−バラエティーに富んだ6曲が収められているのですが、曲を作る時からいろいろ方向性を意識して?
谷口:まったく意識はしてないですね。曲ができるスイッチみたいなものがあって、曲作りモードになったら、しばらく入ったままになるんですけど…だから、「こういう曲を作ったから、次は違うテイストで…」というのも特になく、普通に「こういうのをライブでやりたいな」とか「こんな感じの曲をやってみたいな」って思ったままに作ってましたね。こうやって取材を受けてて「幅が広がったね」とか言われるんですけど、そこまでの実感もなく…どうっすか?(メンバーに尋ねる) 「青い春」と「カタチナキモノ」にしてもそんなに掛け離れたものではないと思うねんけど。
川西:バンドでやってしまえばな。
河合:曲は谷口が作ってくるんですけど、僕はそれを客観的に聴くように心掛けているんですよ。あんまり入り込みすぎると自分だけの世界で終わってしまうから、一歩引いたところから見るようにしているというか。今までは谷口が人間味があるように歌う曲、物語風に歌う曲ということで、いろいろ音を足したりしてたんですけど、今回の『LIFE
e.p.』はライブ感を意識したから音を足さなかったというのはありますね。
谷口:最初に音を抜こうというのがあったんですよ。今までいろいろ飾り付けていた音を抜いて、3人だけで出せるものにしようというのが。
−確かにシンプルなアレンジなんですけど、それは谷口くんの声と言葉を活かすためのものと思ってました。
谷口:音を抜くというのは僕らだけで決めたわけじゃなくて、関わってくれているスタッフも含めて決めたものなので、僕らとしてみれば結果としてそうなっただけなんですけど、やっぱり今言われた歌詞の重さであったり、声の活き方というのは気付いた部分でもあるんですよ。だから、スタッフの手のひらの上で転がされていたのかなという気がしないでもない(笑)。音を抜くって決まった時も、最初から「分かりました」ってドーンと抜いたわけではなくて、やらず嫌いも何だからってやってみたという感じだったし。
−では、レコーディングが終わった時に出来上がった曲を聴いた感想はどんなものでした?
谷口:照れにも似た生々しさがありましたね。でも、歌というのはほんとはそうなんやろなって。今はコンピュータも発達してるし、それらしく歌を作ろうと思ったら誰にでもできると思うんですよ。だから、そうじゃない部分というのを感じた。すごくミュージシャン的なところだなって。
−やはりリズム隊としても、歌を支えようという意識はあったのですか。
河合:今回はありましたね。今まではドラムはドラム、ベースはベースって別々に録ってたんですね。もちろん、ガイドになるものはありましたけど。でも、今回は録る時に仮歌を一緒に歌ってもらったんですよ。そうやって目を合わせてやったことで、メロディーの重要性とかが分ったような気がしました。
川西:そういうレコーディングのやり方って初めてのことだったんですけど、すごくやりやすかったし、抑揚のつけ方を理解できたのが大きかったですね。今までは自分の頭の中で歌を想像しながら弾いたのが、実際に聴こえてくるわけですからね。だから、それがライブ感にもつながっていったと思います。
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